Q1. クリスマスツリーの由来とは?
- A1. 古代ヨーロッパの冬至の行事「ユール」が起源。キリスト教とは無関係。
- クリスマスにツリー(木)を飾って祝う習慣は、古代ヨーロッパのゲルマン民族の間で冬至の頃に行われていた祭り「ユール」が始まりだと言われています。
ヨーロッパや北欧各国では、現在でもクリスマスのことを「ユール」と呼んでいます。
北欧のユールは、キリスト教とは無関係で、クリスマスが広まる以前から行われていた行事です。
古代のユールでは、冬でも葉を枯らさずにいる樫の木を生命の象徴とし、信仰の対象としていました。
そして季節が変わり太陽が再び強いエネルギーを持つ冬至の日を新年と位置づけ、樫の木の周りに神々に捧げるお酒や肉を並べて太陽の再生を祈りました。
こうした伝統的な習慣が、キリスト教を民衆に普及させる動きの中でクリスマスと合わさり、広く伝わったと考えられています。
現代の様にクリスマスツリーを飾る行為は、1419年にドイツで飾られた記録が残されているのが最初です。
アメリカでは1746年に、イギリスでは1840年に、日本では1860年に飾られたのが最初と言われています。
クリスマスツリーにオーナメントを装飾したりイルミネーションを飾る習慣は、19世紀以降のアメリカで始まったそうです。
Q2. クリスマスにもみの木を飾るのはなぜ?
- A2:常緑樹は生命の象徴。中でも三位一体を象徴する三角形のもみの木が普及。
- 冬至に常緑樹の樫の木を祀って祈りを捧げるユールの習慣が根付いていた人々に、キリスト教を普及させるため、キリスト教の教え「三位一体」を象徴する三角形の常緑樹である樅(もみ)の木を、樫の木の代わりに飾る習慣を広めたためと言われています。
また、中世の降誕祭で行われたアダムとエヴァの舞台劇で使われる「知恵の樹」として、リンゴの木の代用にもみの木が使用されたことで、クリスマスにもみの木が定着したとも言われています。
Q3. そもそもクリスマスとは?
- A3:イエス・キリストの生誕を祝う「降誕祭・聖誕祭」。誕生日ではありません。
- クリスマスは、キリスト教がイエス・キリストの生誕を祝う「降誕祭・聖誕祭」として様々な経緯により12月25日と位置づけたものです。
英語のChristmasという言葉は「キリスト(Christ)のミサ(mass)」という意味に由来します。
実際にイエス・キリストの生まれた日は定かではありません。
この日になった理由には諸説ありますが、12月25日がローマ暦の冬至にあたり、冬至には北欧やヨーロッパの伝統的な儀式「ユール」が行われており、民衆にキリスト教を定着させるためにその日が選ばれたと考えられています。
少なくとも4世紀初頭の教会では12月25日と定めていたと言われています。
Q4. クリスマスツリーはいつからいつまで飾る?
- A4. 欧米では11月末(「アドベント」の始まり)から1月6日まで(「降誕節」の終わり)
日本では12月7日から25日まで - キリスト教では11月30日に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの約4週間を、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間「アドベント(待降節)」と呼びます。(宗派によりアドベントを制定していない場合もあります)
アドベントには4本のろうそくを用意し、毎週日曜日(主日)に1本ずつ火を灯していく習わしがあります。
こうした習慣にならい、欧米ではクリスマスツリーを飾ったりお部屋にクリスマスの装飾をするのは、11月末から12月初旬の「アドベントの始まりの日」頃からとする家庭が多いようです。
そして1月6日は「公現祭」と呼ばれる記念の日で、12月25日からこの日までの12日間を「降誕節」としてイエス・キリストの誕生を祝う期間としています。
公現祭のあとの最初の日曜日(主日)に「イエスの洗礼」を祝い、降誕節が終わります。そのため降誕節が終わる1月6日にはクリスマスツリーを片付けるのが一般的となっているようです。
なお公現祭の意味は宗派により異なります。(イエス・キリストの洗礼の記念日、東方の三博士の訪問と礼拝を記念する日など)
日本では、最初にクリスマスツリーが飾られたとされる1886年12月7日にちなみ、この日を「クリスマスツリーの日」として12月7日から飾るという場合もあります。
また、12月にお正月飾りの門松やしめ縄を飾る習慣のある日本の家庭では、12月25日が終わるとクリスマスツリーを片付けるのが一般的です。
Q5. 日本でクリスマスやクリスマスツリーが定着したのはいつから?
- A5. 1552年に初めて伝わり、1900年に明治屋が銀座でクリスマス装飾をしたことで広まった。
- 日本にクリスマスが伝わったのは、1552年に現在の山口県山口市において、カトリック教会(イエズス会)の宣教師らが、日本人キリシタンを招いて降誕祭のミサを行ったのが最初とされています。
その後江戸幕府によってキリスト教が禁止されていた明治初頭までの200年程は、表立ってクリスマスを祝うことはされませんでした。
一般にクリスマスが広まったのは、1900年(明治33年)に横浜にあった明治屋が銀座に進出し、クリスマスの装飾をしたことがきっかけとなり、商業的な目的でクリスマスが定着しました。
その頃神戸ではクリスマス用品の生産も始まりました。
大正時代には、児童向け雑誌や少女雑誌にもクリスマスにまつわる話や挿絵がたくさん登場するようになりました。
そして昭和に入り昭和22年まで、1926年(大正15年)12月25日の大正天皇崩御に伴い、先代の天皇を祭る宮中祭祀として12月25日が休日となっていました。
その頃にクリスマスを祝う習慣が広く定着しました。
Q6. クリスマスツリーにもトレンドはあるの?
- A6. ツリーにもトレンドがあり、葉の素材や色、ベースのデザインなどが変わります。
- 欧米では、今でも生木のもみの木や常緑樹をクリスマスツリーとして飾ることが一般的ですが、日本では人工的なツリーを飾る方が多いでしょう。
日本のクリスマスツリーと言えば、モミの木を再現して作られた円錐型のグリーンのツリーをイメージされるかと思います。
数十年前まではそれ以外の選択肢はほとんどありませんでしたが、今ではツリー本体のデザインも重視されるようになり、毎年新しいタイプのクリスマスツリーが発売されています。
例えば、以前はツリーの葉は緑色のビニール製が主流でしたが、最近は経年劣化しずらくリアルな質感のポリエチレン製の葉が人気となっています。
グリーンの色味にもバリエーションが出て、様々なカラーのツリーもあります。
また、インテリアに馴染みやすい葉のない枝のみのクリスマスツリーも人気です。
ツリーのスタンドは、以前はプラスチックや鉄製のシンプルなものがほとんとでしたが、今はデザイン性の高いポットのベースがトレンドとなっています。
今ではインテリアのイメージに合わせて様々なタイプのクリスマスツリーを選ぶことが出来ます。